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株式公開入門Navi(Blog版)/業務フロー図『3種の神器』 [2005/11/26付]


中 期 ・ 年 度 計 画




 中期計画とは、自社の中期的(3〜5年年後)な将来像を画いたもので、全社員が日々における業務活動を行う上でその方向性を示してくれるものです。ただこの中期計画(年度計画も)ですが、折角あってもあまり日々の企業活動の中で上手く活かされておらず、『お飾り』となっている場合がかなりあります。原因を挙げるならば@中期計画が理解されていないA達成意識の欠如 の2点です。 
 まず@ですが中小企業の場合中期計画の在り方として、事業内容や事業拡大の将来像等が社長及び上層部の頭の中だけあり、社員(特に組織の末端になる程)は自社の中期的方向性をあまり理解しないまま、今日・明日の売上げ目標の達成のみに日々汗を流しているというケースが多くあります。この様なケースになってしまう理由としていくつかあると思いますが(中期計画が固まっていない・書面等にする時間が無い・作り方が分らない等)、実際戦場で戦う社員が今日・明日の数値目標『売上 ○○万円!』だけで動き、その動きの積み重ねである最終目標(中期計画)を知らない状況は、当該計画が達成できる可能性は当然少なくなります。中期計画は社員全員が理解した上で、中期計画を達成する為の第一歩として今日の目標が『売上 ○○万円!』としなければなりません。『木(日)を見て森(中期)を見ず』ではダメ、『木を見て森も見る』にしなければ。
 更に公開企業ともなればこの中期計画は会社内部だけでなく、社外(株主・投資家等)にも理解してもらう必要があります。なぜなら株価の上昇・維持の為には、投資家に自社の中期計画を理解し事業内容の将来性を知ってもらうことが自社株の投資へと繋がるからです。 現在でも多くの上場企業が、会社説明会・HP等で中期計画や企業の現況等の説明(いわゆるIR活動)を積極的に行っています。
 中期計画は企業成長を促進するためにも、公開後には自社株の評価を高める(株価を上げる)ためにも重要なものになりますので、その内容は上層部のみが把握していれば良いわけではなく、社内外問わず理解してもらわなければなりません。

 次にAですが、中期計画(年度計画も同様)の作成方法としてよくあるのが"すべてを一部の上層部のみで作成してしまう"若しくは、"外部の専門家に作成してもらう"というケースがあります。この様な場合社員は、中期計画及び年度計画について、『与えられた目標』という思いがあります。特に社長のみの考えで作られた計画ですと、目標数値が大きくなる場合が多く、社員は自分の考えとのギャップの大きさから計画内容を当初から『達成不能目標』のように感じ、達成意識が薄くなる可能性もあります。
 以前私が在職した会社でこの様なことがありました。
 新事業年度が始まる頃、証券会社から「今期は公開直前期になりますので、前期までのように予算に対する実績の達成率が60%・70%では予算策定能力に欠けると判断されますのでしっかりとした予算を組んで下さい」と言われました。私も入社してから既に半年程が経過していましたので、会社の現状を知る中で以前から"この達成率では問題だ"と感じ、今期予算はもう少し確実性のある数字にしなければと思っていたのですが、、、、、気づきた時には、今期の予算として売上・利益が前期の倍以上という予算が作られていました。この予算は社長がほぼ一人で作成したもので、私はその予算を見て「この予算数字は本当に達成可能なのでしょうか?」と尋ねると、社長は「今期新しい事業を始めるから売上が倍増するんだ」との事。私は"これから始める事業に対し、それほどの高い評価をしてもよいのだろうか?既存事業についても、今まで売上げが20%以上もUPしたことがないのに40%も見込んでいるが可能なのか?"など不安点が多くある予算でしたが、これ以上私が言ってもどうにもならない事と思いその大幅成長の予算を直前期予算とせざるを得ませんでした。
 しかし(やはり?)1ヶ月後には前期同様、達成率は60%程度という月次結果が出て来ました。私にはこの結果はある程度想定していたものでしたのであまりがっかりもしませんでしたが、予算未達の原因を各部長と個別に話しているうちに"この予算では百害あって一利なし!"と思いました。 各部長は「予算は社長に押し付けられた数値であり、あんな予算どう足掻いても達成など無理!(でも受け入れるしか仕方なかった)」と本音を洩らし、その現実から懸離れた予算は各部長の予算数値に対する責務も、予算に対して"達成しよう"という意識も失わせてしまっているように感じられました。(数値が大きすぎて何をしようが無理と始めから諦めている) 結果、毎月の経営会議は未達の原因を探り営業戦術を修正・転換し来月以降に繋げるなどということなど無理な話で、2時間ただ社長の怒鳴り声が響き渡るだけでした。
 私はこの一件で、中期・年度計画は社長からのトップダウンと責任部署からのボトムダウンの意見交換の積み重ねで作成をせず、どちらか一方のみの理想で作成した場合では、その計画は『お飾り』となり更には個々のモチベーションを下げる要因となってしまう可能性があるので、中期・年度計画は経営陣と実行現場の意見を汲み取り両者納得した計画としなければ、有効的な活用を行うことはできないと思いました。
 その後私は会計事務所に移り数社の中期・年度計画の策定を手伝うことになりましたが、"経営陣も現場責任者も承知した計画"でなければ『活きた中期計画』とはならない考え、予算作成時には現場責任者の方に入って頂くようにお願いしています。これは計画作成に参加することが、計画内容の理解・承知に一番手っ取り早いからです。誰でも一方的に与えられた目標では身が入り難いですが、作成に参加し自分の意見が含まれ納得した内容となれば言った手前、責任も必然的に沸いてきます
 予算数値の日々の管理・実行は現場責任者ですからその内容を承知し、計画に対し達成意識をもっていなければ予算達成は困難ものとなってしまいます。

 年度計画はただあれば良いのではなく、その達成の為には計画の浸透度・作成方法等が課題となります。また公開前は予算を達成できずとも、外部からとやかく言われることもありませんでしたが、公開後は予算の修正発表(上方修正ならいいですが)は大きく株価に影響しますし、会社の信用度を損ないかねませんので、数字計画は目標というよりも必達となります。




中期・年度計画作成ポイント
         
予算の必要性等 予算の仕組み 中期計画作成 年度計画作成 利益計画作成 進捗度管理




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